第1回メンタルタフネスフォーラム振り返り【ピョートル編】

ピョートルと対談

こんにちは、森田由美子です。

今回は、先日開催したメンタルタフネスフォーラムについての簡単な振り返りと、私がフォーラム後に考えたことを少しお伝えします。「メンタルタフネス」と「強み」をキーワードにここ9年近く活動してきて、持っているものを活かす生き方はすごく素敵だ、と強く感じるようになりました。これを読むあなたが、タフに、しなやかに、のびやかに、あなたの持っている力を発揮できるヒントになれば、とても嬉しく思います。

今回は、フォーラムの中で講演頂いた『ピョートル編』の振り返りとなります。

10周年について

お陰様で株式会社C’s PORTが10周年、メンタルタフネス協会が5周年を迎えました。周年を機に、広島でメンタルタフネス・フォーラムの第1回目を開催しました。100名を超える企業や個人、そしてタフネスメンバーが参加してくださいました。いつも応援してくださり、本当にありがとうございます。

C’s PORTという名前を付けたのは17年前。

「C’s 」とは私の専門の「Counseling」「Coaching」「Communication」「Career」の頭文字から取りました。拠り所になりたい、「港」になりたいと思い名付けたものです。

迷いを抱えたとき、ちょっと一息つきたいとき、そして何かを得たいときに、ふと思い出してもらい、寄港または帰港してもらえるような、そんな会社でありたいと願って名前をつけたものです。その思いは今でも変わりません。今回参加された方々から、「和やかな空間で過ごせた」というお言葉を頂けたことがとても嬉しかったです。当港に集ってくださったみなさんと、共に時間を過ごすことができたことが喜びでした。

ピョートルの講演のポイントと気付き

ピョートル氏プロフィール

ピョートル登壇

プロフィール

ポーランド生まれ。2000年千葉大学の研究員として来日しベルリッツ、モルガン・スタンレーを経てGoogleに入社。 アジア・パシフィック地域における人材開発に携わり、2014年からはグローバル人材の育成戦略、組織・リーダーシップ 開発の分野で活躍。 2015年独立。 現在、プロノイア・グループ株式会社 代表取締役に就任

ピョートルには「メンタルタフネス」をテーマに40分間の講演をお願いしました。「誰でも自己実現ができる、このことを意識してください」とお話されていましたね。真正面からこう言う人がいると勇気づけられるものです。「いかに自分の選択肢を増やすか」これがメンタルタフネスの土台というお話もありました。

自己紹介での、ポーランドの話には胸が痛みました。私は10年くらい前に、ルーマニアにカンファレンスがあり行ったことがあります。郊外の美しい景色とは対照的な、中心部の砂埃が舞う廃墟のような景色を思い出しました。チャウシェスク政権崩壊のことが、つい先日まであったかのようにあちらこちらで語られていました。

「ARE YOU READY TO GET FIRED ? 」の意味は?

最初に出てきた「好奇心を持ってください」「集中してください」というスライドが印象的でしたね。好奇心と集中力。楽しく充実した生活をつくるために、たしかにどちらも重要ですね。そして「60秒で考える」これも大切なワードでした。

「ARE YOU READY TO GET FIRED ? 」の意味は?とピョートルが会場のみなさんに質問していましたね。「クビになる準備はできているか?」です。AIによって私たちの仕事が奪われてしまいます。自分のしている仕事が、どのくらいの期間でテクノロジーや外国人に奪われるか。企業の在り方や個人の在り方が変わってきている、まさにタフネスが必要とピョートルは言います。

Learn × UnLearnの重要性

LearnとUnlearnスライド

「Learn(新しいやり方を素早く学習する)× Un Learn(学びほぐす・時代遅れのやり方を忘れる)」という話も示唆に富むものでした。会場でも多くの方がメモを取っていたことを覚えています。

そして「oldとnew」で比較し、実際にどう変化すればいいのかを示してくれていました。私も様々な企業に関わらせていただいていて、上司が過去に培った経験のみで仕事をしていて、何も新しいことを学ぼうとせず、何とかしようと新しいことに取り組んでいる部下をつぶしてしまっているように見える場面に出くわします。組織人である以上、常に学び続けたいものです。

どなたの言葉か忘れてしまいましたが、「伝統を守るとは、変わらないことではなく、時代に合わせて変化するからこそ残っていくものだ」といったような言葉が心に残っています。

心理的安全性について

AIに負けない人材、心理的安全性についてもお話がありました。心理的安全性については、個々の強み・弱み(裏強み)を認め合うことから始められると考えます。組織の目標達成を目指すときに、誰もが同じことや同じやり方をするのではなく、個々の個性や考えを活かすことが大切です。

現在、多くの企業が今のままではいけないと不安を抱え、手を打とうとしています。「このままでは日本は滅びる」「新50代問題」という言葉(日経ビジネス)を私は目にして、まさに変化する柔軟さを求められていると思います。それは、組織だけでなく、組織を構成する私たち一人ひとりが変化を怖れず、まずは自分がどうなりたいのか、自分をどう活かしていくのか、といった「自己実現」について考える必要があるとも私は考えています。

Happinessとは?

最後にピョートルは、下記のメッセージで講演を終えました。

Happiness = give × take
(何をもたらしたいか)×(何を得たいか)

フォーラムが終わってから、あなたの自己実現について考えてみましたか?幸せの定義は人それぞれです。何をもたらしたいか、何を得たいか、掛け算のところがいいですね。どちらかが小さくても、どちらかが大きければ、Happinessは増えていきます。しかし、どちらかがゼロでは、Happinessもゼロです。難しく考える必要はありません。毎朝、笑顔で挨拶をすることだって、心を込めるとgiveのひとつになると私は思います。

あなた自身の幸せのために、ピョートルの話を今一度振り返ってみてください。好奇心・集中・変化できるメンタルタフネス!このあたりがキーワードになりそうです。そして、自分は何をすべきか、じっくり考えてみてくださいね。

ピョートルとの対談

変わるための3つの選択肢

森田×ピョートル対談02

ピョートルとの対談で、強く印象に残っていることは、やはり可能性を見せてくれたところです。「組織で自分を活かしましょう!」と言われても、実際はその考えにスライドできない人が多いものです。「会社が〜〜してくれない」「そんな環境にない」といった言葉をよく耳にします。

確かに、職場に人が少なくなり、みんな目の前の仕事に追われています。ゴールも目的も見えないまま、目の前の仕事だけをこなしていると、「何のためにこの仕事をしているのか?」と虚無感がじわじわと湧いてきてしまいますし、「やってもやっても終わりが見えない」と感じて、疲労感や無力感も大きくなっていきます。

そんな状況なのに、「自己実現しましょう」とか「強みを活かしましょう」なんて言われても、自分とはかけ離れた言葉に聞こえるのでしょう。でも、会社に頼っていても何も変わらないし、会社が何もかもやってくれる時代は終わりました。

ピョートルは3つの選択肢を示してくれました。

  1. 自分を変える
  2. 仕事を変える(仕事の内容やチームを変える)
  3. 最終的に職場を変える(選択肢を増やす)

という3つの選択肢です。私たちは、何もしないうちから諦めてしまっていることがあります。もしも、課長に言ってもダメなら部長に言う、部長に言ってもダメなら社長に言う。そういうチャレンジをしていくことが大事というお話でした。自分を変える。自分「が」変える。当事者意識を持つ、といった言葉でピョートルは表現していましたね。

強みを活かして「生き方改革」

ピョートルは「働き方改革」ではなく「生き方改革」という言葉を使っていました。彼の言う通り、自分の人生の中で、自分自身を精いっぱい発揮して生きたいものですよね。強みを研究していて思うのですが、生きるって、自分が持って生まれたものを精いっぱい活かして生きることではないかと思います。それこそが、その人らしい、その人にとっての良い生き方なのではないか?と今は捉えています。誰かと同じところを目指すのではなく、自分を知って、自分を表現して、そして自分らしく生きている実感を得ること。それが良く生きることなのかな、と。自分を大事にしていきたいものです。

仕事で怒られていますか?

「仕事で怒られていますか?」という質問がピョートルからありましたね。「怒られていないならば、それは挑戦していないこと、制限にぶつかっていないことの証明だ」ということでした。会社の中でどんな価値を生み出すか、そこに挑戦していくのは面白いことだと思います。

10月16日以降に、あなたは上司に怒られるような仕事をしましたか?まだでしたら、まずは一回怒られてみましょう(笑)。ちゃんと伝えておくと、怒られるっていう意味は、やるべきことをやらなくて怒られるっていう意味ではありませんよ。「なんでそのアイデアを早く言ってくれなかったんだ!」「え?何そのやり方?すごい早いじゃん!どうして教えてくれないの!?」という感じです。決められていたことを改善したり、飛び越えてみたりすることです。ぜひ怒られてみてくださいね〜(笑)

経営者の仕事とは?

森田ピョートル対談03

「経営者はどんな仕事をするのかを考えてほしい」といった投げかけがピョートルからありました。「経営者の仕事とは、最小のリソースを使って、最大の価値を生み出していく仕事」と話していましたね。そう考えると、社内にいる個々の能力を活かさない手はないのに、なぜかみんな金太郎飴のように、同じ育て方をしてしまいがちです。経営に近い立場の方、部下を持つ上司の方は、今あるリソースで最大の価値を作っていくために、目の前の人材の能力を改めて見直してみると良いかと思います。

非常識に楽しんでみる

今回参加された方には無縁の言葉だったかもしれませんが、「最小の努力で、最大のボーナスを手に入れていく考え方が強い」といった耳の痛い話もありましたね。グーグルでの例を挙げて、「自分がやりたいこと・やれることをしっかり見極めてやりましょう。この会社でしかできないことを見つけてほしい。会社の価値と自分の強み、仕事を自分のために使う、バランスをとってやっていくのが大事。非常識的に楽しんでみる」といった言葉もありました。日々の仕事でいっぱいいっぱいになるときもありますが、冷静に自分がいる状況を捉えることで「自分にできることはたくさんある」と、ピョートルが可能性を示してくれていました。

「相手の顔が変わる瞬間に、充実感がある」

ピョートルに「自分の強みを活かしていると思っていることは?」と質問したときの答えも面白かったですね。

「一番自分の強みが活かされているのは仕事。目の前にいる方の顔が変わっていく瞬間、意識が変わったのが見てとれるとき。人と接する仕事は、人の意識を変える仕事だと考えている。質問したり、情報提供したりして、一瞬だけでも相手の顔が変わる。その瞬間、その人の中で大切な変化が起きている。そのときに充実感がある」

とのことでした。対人援助職の方は、大きくうなずかれたことと思います。

ちなみに、ピョートルの強み診断の結果は「勇(いさみ)」「起(たつ)」「率(ひきいる)」「策(さく)」「創(そう)」でした。なるほど〜〜。なかなか戦闘力がありそうです(笑)。「慎(つつしみ)」や「謙(けん)」など、リスク管理やバックアップの得意な人がチームにいると、さらに強みを発揮できそうです。ピョートルと同じ強みを持つ方も、会場に結構いましたね。

強みを活かしきって可能性を大いに発揮する

今回のタフネスフォーラムでは、ぜひみなさんにピョートルをご紹介したくて、彼を広島までお呼びしました。講演の中で「メンタルタフネス」と何度も何度も声に出してくれたピョートル。その律義さに心が何度も動きました。ぜひ何か一緒に仕事をしたいな、と思いました。みなさんもピョートルの話を聞いて、心が動いた部分がきっとあったと思います。

まずは自分の強みをじっくり味わってみてください。自分はこんなことを大事にしている、こんなときに迷わず動ける、こういう人間にはなりたくない、などなどですね。それから、自分の可能性に思いを巡らせてみてください。今の会社でこんなことができるんじゃないか?こんな経験が積めるんじゃないか?プライベートでもあんなことをやってみたら楽しいかも?などなどですね。良い方向に向かって、心と体が動き出すことを、きっと感じ取れるはずです。

持って生まれた強みを活かしきって、自分の可能性を大いに発揮して生きたいと思ったら、最初の一歩となる行動を決めてみてください。その一歩が、大いなる一歩となります。歩みが止まってしまったり、最初の一歩が踏み出せないときは、ぜひ私を頼ってもらえると嬉しいです。私も目の前の人が変化する瞬間、強みを発揮して生きている実感を強く感じます!共に強みを発揮して、タフに、楽しく、生きていきましょう!

森田ピョートル対談04

以上、第1回メンタルタフネスフォーラムの振り返り『ピョートル編』でした。

ご参加くださった方々、本当にありがとうございました!