【リモートコミュニケーション】2つのポイント

こんにちは、森田由美子です。
9月になりましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。残暑お見舞い申し上げます。夏バテ気味で身体がついていかない、という方も多いのではないでしょうか?

私もその1人ですが、幸か不幸かほとんどの仕事がリモートになっていて、直接お会いしてお話が伺えないもどかしさもありながら、強い日射しを避けられる環境にあることは、幸いなことかもしれません。

リモートで講義をして気付いたこと


そんな中、通信大学のスクーリングの授業をリモートですることが決定し、先日2日間にわたって講義をしました。

担当授業は「コミュニケーション論」です。平素は理論もそうですが、目の前にいる受講者さんたちと一緒に、授業では「伝える」「表現する」を意識して取り入れ、気づいたり体感してもらったりしています。それがリモート授業に変わったことで、果たしてうまくいくのかしら・・・?と、私は開講までいくつかの不安を抱えることになりました。

しかし同時に、改めてコミュニケーションについて考える機会になりました。そこで今回はリモートで授業をしてみて、私が得た学びをお伝えしていきたいと思います。

「見えない」「わからない」という不安


リモート授業では、学生さんのプライバシーの配慮から、学生全員マイクはミュート、ビデオは停止でした。出席者は100人ぐらい。確かに全員の顔は見られないし、全員の声も拾えないので致し方ないと思いつつ、受講者が“見えない”ままずっと(5時間半が2日間)一方的に話し続けることに対応できるのか?と不安はありました。

また、私は受講生とのライブ感のあるキャッチボールに面白みを感じていますので、一方的な授業に自分のモチベーションが保てるかどうか、という不安もありました。とは言え、受講生に良い学びや気付きを与えることが、授業における私の最大のミッションです。

そこで私ができる準備としては、スライドをいつもより多めにしておきました。見えない相手に向かって1人で話し続けるとなると、きっと早口になってしまいます。もし仮に聞き取りにくくても文字や図の情報があれば、理解してもらいやすくなると考えました。もっと提供するスライドを増やしておこうと、ギリギリまで自分を追い詰めて、準備に時間を費やしました。

それに加え、リモートツールの操作にも不安がありました。これまでもリモートでのカウンセリングや1~2時間程度の研修はしていましたが、長時間となると、途中で操作がうまくいかなかったらどうしたらいいのか・・・といった「わからないこと」が大きな不安材料になりました。

他の人からはあまりそう見られないようなのですが、実は私は心配性です。若い頃は研修や講座の直前まで胃がキリキリしたことも多々あったんですよ。今は自分の強みと弱みを理解できていますので、当時よりはタフになれています。

コミュニケーションの本質


一方向のコミュニケーションにとまどいがあった私ですが、思いもよらず双方向のコミュニケーションにはじめから出会うことになりました。なんと、チャットで「おはようございます」「よろしくお願いします」など挨拶がたくさん書かれました。そういうやりとりがあるなんて思っていませんでしたので、有難いおどろきでした。

また、始まる前に動画を流すことになっていたのですが、テストではうまくいっていたのに音声が出ていなかったらしく「音声が聞こえませんが・・・」とチャットで教えてくださった方がいました。これも不安材料のひとつだったものが、受講者さんのおかげで事なきを得ました。感謝!

チャットで挨拶をしてもらえたことと、不具合を教えてくれたこと。この2つの出来事で私の不安は一気に薄れていきました。「顔が見えなくても声が聞こえなくても、キャッチボールはできるんだ」と、このことが分かったときに、「リモートも面白いかも・・・」と思っている自分に気が付きました。

受講生さんたちは授業中、ご自身の意見や体験をチャットで伝えてくれました。「私はこんなことがあった」「自分だけではないんだと安心した」といったメッセージや経験も書いてくれました。また、私はチャットではなく、声で応えることにしていましたが、「先生がチャットに反応してくれる、さすがコミュニケーションの授業」といったコメントもありました。質問に答えたら、「分かりました」と返事もきて、顔は見えないけれども双方向のやりとりができている実感がありました。

改善していく点


しかし、反省点もあります。自分では注意して質問を読み上げて回答をしたつもりでしたが、途中で「先生の回答はわかるが、質問が分からない」といった意見を頂きました。どの質問に答えているのか、きちんと伝える必要がある、といったことが反省です。次回からは質問は質問、回答は回答、そうわかるようにお伝えしていきます。

また、100名ほどの受講者がいましたが、チャットでメッセージをくれていたのは1割程度かもしれません。対面であれば、声を発しなくてもボディランゲージで理解できたかどうかを判断することもできますが、リモートでビデオオフでは感触をつかめませんでした。これもまた「見えない」難しさですね。このあたり、双方向の面白さを感じてもらうためにも「反応」してもらうことを考えたいと思います。

伝えようという意思


今回のリモートスクーリングで再認識したことが2つあります。

1つ目は、コミュニケーションは反応することが大切だということ。改めて実感したことは、チャットというツールであろうとも、挨拶やメッセージがあるだけでその場が豊かになることです。そしてコミュニケーションをとろうとする意思があれば、お互いにできることはあるんだ、と改めて気づけたことも大きかったです。

2つ目は、ディスプレイの向こうで聞いてくれている人がいる、と信じて伝えるということの重要性です。一方向だからと不安に思っていた自分が恥ずかしいです。伝え手として、聞いてくれている人がいる!役に立つものを届けるんだ!というそんな思いをもって伝えていく大切さを改めて認識しました。

コミュニケーションの可能性が増えた

 

コミュニケーションは難しいと言われます。本音と建前、上司と部下、女性と男性など視点は様々ですが、意思疎通は決して簡単ではありません。今までコミュニケーションをとるためのツールとしては、対面・電話・メールがありました。そこに新型コロナウイルスの影響で、これらのツールに加えてリモートを通じての会話や会議が入ってきました。しかし、コミュニケーション効率が悪くなったかといえば、決してそうとも言い切れないようです。

リモート会議においては、普段は「対面でのコミュニケーションが苦手」と言っている人が、「リモートだと順番に話せるから自分の意見が言いやすい」と聞いたことがあります。途中で口をはさまれないのもいいようです。反対に、なんとなくリモートだと不安があり難しいと思っている人もいるようです。伝わっている感触が、対面のときより薄くなっているように感じるようです。

このように、リモートで働くことを迫られ、私たちのコミュニケーションのツールは増えました。どのように対応するのがベターなのかは、それぞれがまだまだ探っていく必要はありそうです。今のところの私の実感では、「伝える内容、置かれた環境、相手との関係性によってツールを使いわけるのがいい」と考えています。リモートだからとことさら不安がらずに、単純にコミュニケーションツールが増えたととらえ、「伝える」「聞く」といったコミュニケーションの可能性にチャレンジしてみてほしいと思います。

コミュニケーションの目的を忘れないこと


今までよりスムーズで心地よいコミュニケーションになることもあれば、今までのほうが良かったなあと思うこともきっとあるはずです。そう感じるポイントは人それぞれです。

いずれにしましても、コミュニケーションの目的は相互理解ですから、相手の話を聞き、伝えることは伝える。わからないことは質問し合える関係を作っていく。そういったところを重視していきましょう。ツールはあくまで手段です。使いこなし方は今後いろいろと出てくるはずです。

ポイントは、コミュニケーションの目的を見失わないことです。何のためにお互いに言葉を交わし、時間を共有しているのかをしっかり理解していきましょう。

それではまた。

森田由美子