がんサバイバーの方からの気付き。心に寄り添うとは?

こんにちは、森田由美子です。

私の友人に「がんサバイバー」として活動されている方がいます。その方が書かれた記事を読んで、私が考えた「心に寄り添うとはどういうことか?」をお伝えしていきます。

彼女は先日も寄稿された冊子を送ってくれました。また、8月13日の中国新聞の朝刊にも記事が掲載されていましたね。今や2人に1人ががんになる時代といわれています。他人事ではありません。

現在厚生労働省では「第3期がん対策推進基本計画」(平成30年3月閣議決定)、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)に基づき、労働関係部局と連携しながら、治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを構築し、がんになっても生きがいを感じながら働き続けることができる社会づくりに取り組んでいます。

しかし、彼女ががんを告知された頃は、がんになると会社は退職、長期療養が当たり前だと思われていた時代です。彼女が私に連絡をくれたとき、すでに彼女は会社に退職願を出した後でした。残念に思ったことを思い出します。

がんと告白されたらどうするか?


がんと打ち明けたときに、周りの人の接し方が変わるのもつらかったと言っていました。「今思えば、周りもどう声を掛けていいか分からなかったのだと思う」と彼女は言います。

私もカウンセラーとして相談業務を受けていて、「うつ病になった部下や同僚にどう接したらいいのかわからない」という相談はよくあります。

うつ病を患っている方と接するときに、「励ましてはいけない」「がんばれとは言わない」ということは、よく言われることです。彼女は医師から「ラッキーだ、早期発見だよ!」と言われて、医師との間に心のズレを感じたと記しています。もちろん、医師が彼女を安心させようと発した言葉だとわかってはいても、ラッキーなこととは受け入れられなかったようです。

では具体的に、がんであることを誰かに打ち明けられたときに、どうすればいいのでしょう? 一般社団法人がんチャレンジャー(千葉)が刊行した、無料の冊子「がん罹患(りかん)者にかかわる方必携『寄り添い方』ハンドブック」をぜひご覧いただきたいと思います。
https://www.gan-challenger.org/handbook/

がん患者としてうれしかった関わり方や、残念に思った声掛けを紹介しているようなので、そちらを読んでいただきたいと思います。

心に寄り添うとは?


がんやうつを患っている方と関わるときは、心情に寄り添ってあげたいと思うものですよね。無邪気に傷つけるようなことをしたくないし、当人にしかわからない苦しさをわかってあげられるような態度も正しいかどうか迷うものです。できれば何か力になりたいと思うけれど、その気持が重荷になってしまうこともありそうで怖いですよね。しかしながら、特に親しい間柄であればあるほど、心に寄り添ってあげたいと思うものです。

では、「心に寄り添う」ってどういうことなんでしょう?

私の答えとしては、いつでもあなたの話を聞くよ、というオープンなスタンスを見せることだと捉えています。なんとかしてあげたいと思えば思うほど、私たちは方法を探してしまうようです。よりよい情報、解決策を探してしまう。

例えば「あそこの病院がいいようだよ」「テレビでこんなこと言ってたよ」と伝えてみたり、自分が少しでも同じような経験をしていれば、自分の経験を語ったりしてしまいます。「がんばろう」「うまくいくよ」といった言葉を気安くかけてしまうこともあるでしょう。もちろん、情報やアドバイスや声かけは役には立ちます。相手もあなたのいたわりの気持ちを汲んでくれることでしょう。

そのまま聞く。

 

しかし、もしあなたの周りの人が、思いもよらないことで悩んだり落ち込んでいたりしたら、まずは、その人の思いをそのまま聞いてあげてください。そのまま聞く。これが大事です。思いが言葉にならない人の場合は、黙ってそばにいてあげるだけでいいんです。「あなたが話したくなったら私が聞くよ」「私はそばにいるよ」というメッセージがとても大切です。

人は不安や悩みを抱えているとき、頭の中が整理できない状態になっています。起きていることをどう受け取ればいいのか? 自分はどうすればいいのか? 何が起きているかさえも理解できないかもしれません。

頭の外に出すことは、ひとりではできないときがある。


それを整理するには「外」に出すことが本当に重要です。混乱したままでいいので、頭の中にあるものを話したり、書き出したりして外に出す。この行動が本当に大切です。

そしてあなたに知っておいて欲しいことは、「外に出すこと」をひとりで実行するには、多大なエネルギーがいるということ。ひとりで立ち向かうのはキツいことなのです。

でも、そばに寄り添ってくれる誰かがいると、人は自分で考えたり対処したりできるものです。これまでの私の経験からも、誰かと話したり、一緒に書いてみたりすることは、頭と心を整理する強力な方法だと思っています。

ヘルプを出しても大丈夫

 

新型コロナウィルスの影響などで、他人との距離が空きすぎて、ひとりで悩みを抱え込んでしまう人が増えてしまいそうで心配です。ひとりで悩みを解消しようと思うと、お酒やギャンブルに頼ってしまうことがあります。

しかし、お酒やギャンブルに頼ることは、悩みを解決するうえで良い方法になりません。お酒やギャンブルに頼ってしまっているなら、どうかその事実に気付いて、それらと距離を取るようにしてもらいたいです。

毎日職場に行って顔をお互いに見ていれば、不調や変化には気付きやすいもの。ですが現実として、そうもいかない状況があります。こんな時代ですが、もし心が深く沈んでしまったときは、ひとりで抱え込まないで誰かにヘルプを出してもらいたいです。電話でもメールでも、ラインでも、方法は何でもいいのです。誰がいつヘルプが必要になる状態になるかなんて、神様でもわかりません。深く沈んだときはとにかく誰かにヘルプを出すようにしてください。

そして、もしあなたがヘルプを受け取る立場だったときは、「心に寄り添うこと」をどうか思い出して欲しいと思います。「いつでもあなたの話を聞くよ」というスタンスで、相手の気持ちをそのまま聞いてあげてください。深く暗く沈んだ心が、温かい光を取り戻すきっかけになるかもしれません。

前出の「『寄り添い方』ハンドブック」も、ぜひ読んでみてくださいね。
https://www.gan-challenger.org/handbook/

それではまた。
やさしく強くいきましょう。

森田由美子